賃貸物件の退去時の敷金が戻ってこないのはなぜ?
キレイに使っていたのに原状回復費用を請求された
退去時のトラブルはどこに相談すれば良いの?
そんな方はこの記事を参考にしてみて下さい。
ここでは私が実際に経験した賃貸物件の退去時の敷金返還トラブルについて書いていきます。
消費者センターや弁護士の方などの相談先や相談した内容、敷金返還のために実践した事を書いているので参考にして下さいね。
「これから引越しをする方」「敷金が返還されない方」「原状回復費用を請求されている方」「敷金返還に関する相談先を知りたい方」などの参考になると思います。
敷金返還請求をするまでの経緯
敷金返還請求をするまでの経緯は、私が2022年の2月に引越をした時に遡ります。
退去の立会時に「敷金○○円は戻ってきます」「そこからストーブ清掃費用○○円とハウスクリーニング費用○○円引かれるので○○円請求となります」と言われました。
???。なんかおかしな事言ってんなと思いつつ、とりあえずわかりましたと言ってサイン。(←これが失敗)
家に帰ってから契約書を確認してみました。
そうすると「退去時にストーブ清掃費用○○円、ハウスクリーニング費用の原状回復費用を請求する」と特約・覚書が記載されていました。
そんなん聞いてないし。。。
ハウスクリーニング費用に関しては金額すら書いていないし。。。
日常使用の消耗まで負担させるなんて書いてあるし。。。
調べてみると設備の清掃費用やハウスクリーニング費用は原状回復費用には該当しないため支払う必要がないものと知ります。
こうして敷金返還請求をすることになるのでした。
敷金とは
敷金とは、家賃や原状回復費用(通常の使用に伴い発生した損耗を除く)の未払い等に備えて賃貸物件を借りる際に貸主に預けておくお金です。
基本的に賃貸物件退去時に家賃の滞納や借主の過失による破損・汚損などがなければ返ってきます。
私はトラブルの経験はなく今までは敷金全額返ってきていましたが、今回はじめてトラブルを経験することになりました。
退去時に敷金が戻ってこないというトラブルはよくあるようですね。
下記は国民生活センターに寄せられたトラブル事例です。
原状回復費用とは
国土交通省のHPによると原状回復とは下記のように記載されています。
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
難しいですね。。。
簡単に言うと故意または不注意による退去時の修繕費用です。
故意や不注意が無く、普通に生活していて消耗しているような場合は原状回復費用は支払う必要はありません。
詳しい内容は国土交通省が定めるガイドラインを参考にしてみて下さいね。
以下は一部抜粋です。
原状回復費用 貸主が負担するケース(ガイドライン17~26P記載)
下記の内容で故意または過失がないものに関しては貸主(大家)負担になります。
貸主負担となるもの
・床、壁、天井(クロスなど)
・建具等、襖(ふすま)、柱
・設備、その他清掃
などなど
原状回復費用 借主が負担するケース(ガイドライン17~26P記載)
下記の内容で故意や過失があるものに関しては借主負担になります。
借主負担となるもの
・手入れ不足等で発生したシミ、カビ、サビ跡
・賃借人が日常の清掃を怠ったための台所の油汚れ
・タバコ等のヤニ・臭い
などなど
借主負担になったとしても全額を負担する訳ではありません。
最大でも耐用年数から減価償却後の残存価値までの負担となります。
全部ではないですが目安として6年で価値が1円になるものが多いです。
新築だったとしても6年住んでいれば過失があったとしても負担額は少なくなりますね。
特約によって借主に不利な契約をしていた場合は?
私のように特約によってストーブ清掃費用やハウスクリーニング費用など借主にとって不利な契約をしている場合があります。
そういった場合には支払わなくてはならないのでしょうか?
過去の判例から「要件を満たしていない特約は無効」となった事例もあるようです。
原状回復に関する賃借人に不利な内容の特約は、近年の(最高裁の)判例も踏まえ、次のような用件を満たしておく必要があると解されます。
[1] 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
[2] 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
[3] 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること(国土交通省HPより)
原状回復に当てはまらない費用を請求されたら
故意、過失などがないのに原状回復に当てはまらない費用を請求されたら支払を拒否しましょう。
ガイドラインが定める借主負担となるもの以外の費用に関しては請求があってもほぼ支払う必要がありません。
貸主(大家)や管理会社へ相談し支払う必要がないものであるため支払いを拒否する旨を伝えましょう。
また、請求されることにより、本来返還される敷金が戻ってこない場合は敷金返還請求しましょう。
相手によりますが、相談するだけで敷金が戻ってくることもあるようです。
貸主(大家)や管理会社に相談することによって敷金が戻ってきた方は、めでたしめでたしって感じですが、私は敷金が戻って来ませんでした。
そう言った場合どうすれば良いのでしょう?
まずは最寄りの相談先に相談してどうすれば良いか聞いてみましょう。
【敷金が戻ってこない】退去時トラブルの相談はどこですれば良い?
敷金返還トラブルに合った時にどこに相談すれば良いかなんて、はじめてトラブルに合った人にはわからないですよね。
私もわかりませんでした。
調べてみると色々な所で相談を受けているんですよね。
地域によって違いがあるかもしれませんが、私が調べた相談先をまとめてみました。
もし、退去時のトラブルがあった場合は相談してみて下さいね。
※ご自身の地域が見当たらない場合は「相談先名 地名」で検索すると出るかもしれません。
国民生活センター
各地域の消費者センターの問い合わせ先が記載されています。
まず1番はじめは消費者センターへ問い合わせするのが良いでしょう。
問い合わせによる相談と、その他の問い合わせ先も教えてくれました。
公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会
消費者センターに相談した際に公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会(以下、宅建業協会)でも相談できると言われて連絡しました。
一般的な内容でアドバイスしてくれます。
約8割の不動産会社が宅建業協会に加盟しており、不動産会社へクレームを入れる事も出来ます。
ただ、賃貸は不動産業に含まれないようで今回の件のクレームは入れられませんでした。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラス(日本司法支援センター)は、国によって設立された法的トラブル解決のための総合案内所です。
法テラスでは直接弁護士に相談できるので、一般的な内容よりも細かい内容まで相談出来ます。
無料相談もできるのですが、収入や保有資産額によって相談が出来ない場合があります。
私は貯金額を言ったら対象外と言われました。
日本弁護士連合会 法律相談センター
法テラスが利用できなかったので、紹介してもらったのが日本弁護士連合会 法律相談センター(以下、弁護士会)です。
弁護士会でも弁護士による30分まで無料で相談に乗ってくれます。
無料相談回数は3回までで、所得制限無く相談出来ますよ。
弁護士に相談した場合は的確な回答が返って来ます。
日本司法書士会連合会
私は相談していませんが、日本司法書士会連合会でも無料で相談にのってもらえるようです。
日常生活でのトラブルの回答事例など紹介されています。
少額訴訟についても記載されていたので相談してみるのも良いですね。
敷金を取り戻すにはどうすれば良い?
本来戻ってくるハズの敷金を取り戻すにはどうすれば良いでしょう?
消費者センターや弁護士などの方々に色々と相談して確認したところ、下記の対応を順に行っていく必要があるようです。
敷金を取り戻すための手順
- 貸主(大家)、管理会社へ返還請求をする
- 貸主(大家)、管理会社に敷金返還の請求書を内容証明郵便を送る
- 少額訴訟 or 民事調停する
貸主(大家)、管理会社へ返還請求をする
まずは貸主(大家)、管理会社へ返還請求をします。
原状回復費用など支払う必要が無いものである根拠などを示し、ガイドラインに沿った内容で耐用年数、減価償却加味した上で敷金を返還してもらうため相談しましょう。
私の場合は特約に書かれているとの一点張りで相談になりませんでした。
貸主(大家)、管理会社に敷金返還の請求書を内容証明郵便を送る
返還請求で敷金が返還されない場合は内容証明郵便を送ります。
内容証明の内容は返還請求した内容と同等で問題ないです。
内容証明を送る事で原状回復費用を支払う必要が無い根拠や意思表示をしていることを日本郵便が証明してくれます。
裁判になった際の証拠にもなります。
内容証明に書く項目は下記の内容を入れておくと良いでしょう。
「敷金返還 内容証明」などで検索すると参考になるものが出てくると思います。
※しっかりした内容証明を出したい場合は専門家に相談しましょう
内容証明に記載する事項
- 通知年月日
- タイトル
- 貸主住所・氏名
- 通知人住所・氏名
- 賃貸物件住所・敷金差し入れの事実
- 賃貸契約終了日(退去日)敷金返還額の見積書の内訳
- 返還請求する金額
- 返還先の金融機関口座・返還期限
- 訴訟手続きの対応
「敷金返還 内容証明」などで検索すると色々な雛型が出てきますので参考にしてみると良いでしょう。
内容証明を送るのは面倒だなぁって思う方もいると思いますが、今はe内容証明と言うPCを使って安く家でできる便利なものがあります。
内容証明を送る事によって敷金返還がない場合は少額訴訟をする旨を記載しておくと相手へのプレッシャーになります。
実際に返還請求をするのは貸主(大家)になるので、内容証明は貸主宛てに送りましょう!
貸主の住所などは契約書類に記載されていると思います。
私ははじめに管理会社に内容証明を送ったのですが、弁護士や裁判所に問い合わせした際に貸主に請求が一般的と言われたので貸主宛てに再度送り直しました。
少額訴訟 or 民事調停する
内容証明を送っても敷金が返還されない場合、簡易裁判所での少額訴訟か民事調停することになります。
民事調停は第三者を間に入れての話し合いのため、時間もかかりますしすぐに決着はつきません。
民事調停に比べ少額訴訟は1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする特別な訴訟手続です。
60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り利用できます。
その日に判決が出るので民事調停より対応が早いです。(1日で終わらない場合もあるようです)
詳しくは裁判所のHPを見てみて下さいね。
少額訴訟勝訴後は?
少額訴訟で勝訴後、相手から敷金が返還されれば無事解決です。
ただ、勝訴後も相手が支払いに応じない場合もあるようです。
そういった場合は強制執行を行う必要があります。
強制執行も少額訴訟を行った簡易裁判所で強制執行の手続きを行えば敷金の回収はできます。
出来れば誠実な対応をして頂きたいですね。
強制執行については下記を参考にしてみて下さい。
少額訴訟をして学んだこと
少額訴訟をして学んだことのまとめ
- 借主にとって不利な特約でも契約が成立していると不利
- 退去時の支払い書類にサインをしてしまうと不利(重要)
- 入居時の契約が一番重要
内容にもよりますが、契約書類にサインをしてしまうと認めたことになってしまうため不利になるようです。
不利にならないためにも支払う必要がない退去費用を請求された場合は書類にサインをせずに拒否しましょう!
私は退去時の支払いの書類にサインをしていたことがかなり不利になったように感じました。
そして、何よりもはじめの契約が一番重要なので内容はしっかり確認した上で契約に臨みましょう!
賃貸トラブルはどうやって回避すれば良い?
退去時にトラブルに合わないようにするにはどうすれば良いでしょうか。
トラブル回避には、まず契約前の確認が重要です。
何も気にせずに契約してしまうと、私のように払う必要がない費用まで請求される可能性があります。
国土交通省が定めるガイドラインに沿っていない借主にとって不利な特約などがあった場合は削除を依頼しましょう。
特約の削除などを行って貰えない業者であれば、そもそも悪徳業者の可能性がありますので契約をしないのも選択肢の一つです。
過去に管理会社とのトラブルがあった場合「管理会社名+口コミ 退去」などで検索すると出てくるかもしれないですね。
契約時からしっかりとした対応が必要ですね。
退去時のトラブルを回避するには?
退去時のトラブルを回避するには証拠を残しておく必要があります。
下記の退去までやっておきたい事を参考に退去の立会を迎えましょう。
退去時、退去までにやっておきたい事
- 傷や汚れなど入居時の時点のものと証明できるように写真や動画を撮っておく
- 現状回復費用として支払う必要があるものを確認する
- 退去の立会前に部屋はキレイに掃除する
- 退去のやりとりはメールなど文字で残るもので行う
- 退去の立会時は動画を撮っておく
- 退去の立会時に納得のいかないものは了承しない
ちなみに、退去時の立会いをしないで書面やメールのみで対応する方法もあるようです。
おわりに
私が経験した敷金返還トラブルについて書いてみました。
今回の少額訴訟により掲示された和解案により、支払わなくても良くなった費用も発生したので何もしないよりは良かったです。
全額回収が目標だったんですけど、まあ仕方がないです。
相談先も書きましたので、同様の経験をしている方は相談してみて下さい。
また、今後退去の予定がある方は退去前の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
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